2016年8月10日水曜日

西穂高〜奥穂高縦走指南

2016年8月6日(土) 

ずっと憧れていた北アルプスの中でも一番の難コースにとうとう行って来ました。

大小の多くのピークの連続
梯子なく鎖も最小限に押さえられていて8時間以上歩き続けることが出来る体力と十分な岩稜歩きのスキルが必要となる北アルプス最後の原始コース


その準備で得られた情報や知識をメモしておきます。

宿泊情報


本当は山小屋は好きではないのですが荷物を軽くするために今回泊まりました。

西穂山荘  0263-36-7052
奥穂高山荘 090-7869-0045

それぞれ狭さと加齢臭と蒸し暑さ、韓国人観光客の大声といびきに苦しみました。
ツェルトを持って来て外で寝ても良かったかなぁ。。
スピードと軽さ重視なのでやむを得ないか、、

日の出日の入り

4:56〜18:56

3:00起床で3:45出発でした。
奥穂高岳に到着したのは12:00くらいになりました。

遭難情報

ここのところ最近西穂高や前穂高の滑落事故が続いていたのでどこで事故が起こっているのかを事前に調査しました。
ロバの耳やウマノセなどの核心部よりは名も無い尾根や登りで事故は発生しているようです。
県警や山のお仕事に関連している方のHPは役に立ちます。

長野県警

岐阜県遭難対策協議会

事前情報収集

インターネットの情報で一般の方のブログは一切当てにしませんでした。
簡単、死ぬかと思ったなどの個人の主観によるものが多いためです。
またどの程度のスキルの方が書いたものなのかによって自分に合う内容なのか判断がつきませんでした。

よって下記の2つの書籍を買って参考にしました。
特にDVDは毎日の通勤時間に見てコースタイムや足跡のイメージを頭に焼き付けるくらいまで繰り返し見ました。




ソロかパーティか?




私はソロで登りました。
可能ならパーティーで行きたかったですが同レベルである山仲間が居なかったのと他人の命を預かるという勇気が持てなかったということもあります。
夏山で西穂高でアイザイレンしているパワーのなさそうな人たちを見かけたことがありますが、本当に他人を救えるのか?全員巻き込まれてしまうのではと疑問に思ってしまうときがあります。

注意点

アドバイス出来る立場かどうか分かりませんが参考になればと思います。

・滑落しないようにとにかくずっと三点支持を保つ。
 下りは垂直にして伸び切ったり、おしりを付けたり足を突っ張ると危険
 三点支持、おしり、膝をつかない

 鎖に全体重をかけない

 腕でしゃがみついたり伸び切ると手が疲れてしまい足が浮いて危険
 またルートも見えにくくなる

 高さはありますが、怖がって身体を斜面に近づけると滑るので、怖がらず離すこと。

 ザックは可能な限り軽くする。

・服装
 服装は天候に応じて早めに変更する。
 夏でも尾根上で風が吹くと寒いので薄いアウターはあった方がよい。
 早朝や台風が近づいていると風は冷たく強いです。

・ルートファインディングを確実に

 ペンキマークを確認する。基本尾根の○印探しです。
 巻道を見落とすと滑落に繋がり危ない。
 道の途中で数カ所発見しにくい場所がありました。
 まよったら最後に見つけた位置まで一旦戻る。

・エスケーブルート・テント場
 天狗のコルから岳沢にエスケープ可能なようですが、
 コルの下部に雪が残っていると危険なため注意のようです。
 (実際に行っていないのでごめんなさい。)

 テント場になりそうなところは三箇所ほどあったように思います。

・落石

 週末は人も多く特に人口落石に注意。

 ジャンダルム付近は奥穂からデポして気軽にやってくる初心者が多く特に危険。
 上記ビデオでは飛騨側に巻いてその後信州側に行く巻道が安全と言われていたが
 巻道故に上から結構でかい石が落ちていた。
 また初心者だからなのか自分が落としても「落」と叫ばない人も居た。
 またロバの耳の手前の急な登りも落石が発生しやすい。

 岩は水平に抜けやすいので上から押さえる。
 またどれだけ注意しても発生するので後続の方に少し間を空けてほしいと正直に
 伝えた方が良い。
 べったり付かれると歩きづらいし、自分が加害者になる方が辛い。

・栄養補給
 この稜線歩きは集中力がとても重要だと思います。
 ぼーっとして思考力が落ちたり足がふらついてつまづくなどが危険。

 水分補給は十分に準備しておく。
 さらに水だけではなくスポーツドリンクや梅干しなどクエン酸や塩分の
 補給が出来るものがあった方が良い。
 私はサイズもコンパクトなソルティライチのパウチを3つほど
 リュックに入れておきました。
 暑いタイの飲み物らしく一気にリフレッシュ出来ます。

   


・日頃のトレーニング

 これは重要。付け焼き刃で渡れるようなコースではない。 
 私は週5回トレーニングジムで
 スクワット・ランジ・レッグカール・レッグエクステンションを実施。
 ただまだまだ登りになると速度が落ちるので、
 内転筋と歩荷もやっておけば良かったかなという感じです。

 また事前に前穂高に行くなどして岩稜歩きのトレーニングも実施しました。

エスケープが無いため体調、装備に不安があれば諦める勇気が大事
 天候変化 夏山は特に雷に注意


コース途中のメモ

西穂下り

ハイマツのある岩稜を少し下ると最初の難関の急な下り
安定、脆い、滑るなど岩の性質を見極める

その後岳沢側に下りトラバース、長い鎖場
鎖場では全体重をかけない
一歩一歩確実に特にザックが大きいときは気をつける


傾斜がキツイので気を付けてルートファインディングしながら
鎖のあるところが正しい道とは限らない

その後間ノ岳まで5つのピーク
間ノ岳が見えるようになる

間ノ岳手前の登り

赤茶けた脆い岩場
風化の激しいルンゼ状岩を登る
脆い岩場
落石多い
上部からの落石に 注意し、自分でも落とさない

間ノ岳 


2907m

アイノダケと書いた大きい石があるので見逃さないこと。

ここから 天狗の尾根が見える


間天のコルへの下り
信州側に切れ落ちた長い下り
三点支持を守って降りやすい道を探す

間天のコル

天狗の頭への登り

滑りやすい逆層のスラブ状の登り
緊張の連続で精神的に疲れているので慎重に
岩溝やステップを探す
最上部はステップが大きく登りにくい

天狗の頭

天候判断と今後の予測
ダメな場合は天狗のコルでエスケープを検討



天狗のコル手前

鎖のある50mの下り
三点支持を守って慎重に
ルートが狭く落石があるので一人ずつ
特に最後は崩落しているのでペンキマークを探し的確にフォールドを探すこと。



天狗のコル

ほぼ中間地点
エスケープ可能 岳沢まで1時間半
雪渓が残っていると危険
奥穂高までは3時間半





約1時間 高低差300m
一番厳しい登り 畳岩尾根を過ぎてコブ尾根へ

体力、コンディションを万全に
岩稜歩きが気持ちいい

コブ尾根の頭

鎖場の最後に狭い尾根







手で岩をホールド。両足の重心を真ん中に

しばらく信州側を歩く
岩稜の尾根に出る手前では風に注意


雷被害も圧倒的に尾根が多い

広場で一息入れながら
ここからジャンダルム望む
その右からは奥穂高が望める

ジャンダルム 

3163m 



分岐右が奥穂高 1時間半
岩棚の道 滑落に充分な注意必要
左がジャンダルム 約15分

分岐からのルートが安全
ロバの耳側の直登ルートには行かないこと

フランス語で衛兵の意味を持つジャンダルム



ジャンダルム直下の切れ落ちたトラバース
その後リッジ状の下り


ここからがこのルートの核心部

ロバの耳の登り

急傾斜 雨に注意
最後の一枚岩は手がかり、足がかりが少ないため注意

ロバの耳下

飛騨側に切れ落ちた垂直にも見える下り
最後が難関
切れ落ちた長い下りに注意

自分の降りるルートをしっかり確認する
手足のホールドは細かく少しずつ重心を移動
特に危ないところは浮石かどうか確かめながら
体重移動は小さく

馬の背への登り

見た目より登りやすいが落石に注意
前に書いたように一人ずつ登った方が無難

馬の背






縦走路のクライマックス

痩せた尾根
強風時注意
 20m
三点支持を守って
リッジは狭いがホールドは探しやすい

最初は緩やかだがだんだん傾斜が厳しくなる

ナイフリッジの中央をしばらく通り
上部からは信州側に出る。この信州側のステップが下が丸見えでかなり怖い。

細心の注意で滑落に注意


馬の背を超えると奥穂までなだらかな道
バックにはジャンダルムやロバの耳
大きなケルンに囲まれた日本第三の頂











成功した後はプライスレスな充実感が味わえます。
奥穂から見る縦走コースは格別でした。



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